-ひらきの氣配 -

まだ言葉にならない光が、
胸の奥でそっと揺れていた。

触れれば消えてしまいそうで、
離れれば遠ざかってしまいそうで、
ただそのあわいに
静かに身を置いていた。

どこへ向かうのかも、
なにが始まろうとしているのかも、
まだわからない。

けれど、
確かにひらきはじめているという気配だけが
やわらかく世界を満たしていた。

急がなくていい。
形にしなくていい。

ただ、
ひらいていくほうへ
そっと身をゆだねていた。

 

 

 

             Day9   -かすかな震え-