-ひらきの氣配 -
まだ言葉にならない光が、
胸の奥でそっと揺れていた。
触れれば消えてしまいそうで、
離れれば遠ざかってしまいそうで、
ただそのあわいに
静かに身を置いていた。
どこへ向かうのかも、
なにが始まろうとしているのかも、
まだわからない。
けれど、
確かにひらきはじめているという気配だけが
やわらかく世界を満たしていた。
急がなくていい。
形にしなくていい。
ただ、
ひらいていくほうへ
そっと身をゆだねていた。